7月8日 訓練会員の渡辺了敏様が計器飛行証明に合格されました。おめでとうございます。
渡辺さまからのご報告を以下ご紹介いたします。
そうだ!グアム、行こう
昭和の終わりごろに日本で自家用操縦士免許を取って以来、長い間飛んだり飛ばなかったりの状態を続けてきました。アメリカで仕事をする機会があったので、日本の免許をFAAのものに書き換えて本土で飛んだこともありました。日本でもアメリカでも、どこへでも飛んで行くことができる自信はあるのですが、自家用機を持っているわけでもないし、これから先をどうしようかと悩んでいました。
私が所属しているAOPAジャパンでは、自家用操縦士でも計器飛行証明を持つべき、との考え方があります。この考え方に大いに賛同はするものの、私には計器飛行訓練に使うことができる飛行機もなければ、訓練してくれる教官もいませんでした。
そんな中、グアムで飛行教習をやっており、自家用免許や計器飛行証明を取った人がいるとの情報を得ました。
そうだ!グアム、行こう。どこかの鉄道会社のキャッチフレーズみたいですが、決心したのが09年の8月のことでした。
自分にとっての計器飛行訓練は、証明を取得することもさることながら、主目的はあくまでも技量維持。しかし、技量は一定の状態に維持するよりも、向上させたほうが積極的な維持になるだろうとの考え方に基づくものです。しかも、飛行機操縦はあくまでも趣味の領域。先を急ぐ旅ではありません。時間が許すときにマイペースでやろう。ひょっとしてうまくことが進めば、試験に合格するかもしれない。という気楽な気持ちでスタートを切りました。
始めてみると、やはり面白いものでした。自分が今まで知らなかったことを知り得たり、できなかったことができるようになるのは、人生の数ある楽しみの中でも最高のものではないでしょうか。
トレンドベクターでは、一日2回、一回約1時間のペースで訓練を積み重ねました。その日の訓練が終わると、ではまた明日。という日々ばかりではありません。スタッフの方々が夕食に誘ってくれて、そこでまた飛行に関する談義を楽しむことができました。特に大勢の訓練生が教官宿舎にお邪魔した、昨年末の忘年パーティーは大いに盛り上がりました。すばらしい思い出です。
そんなこんなで、帰ってくるとすぐに次の機会を計画するようになり、最初の考え方とは裏腹に、2ヶ月に一回ぐらいのペースで通うことになってしまいました。
フードを被っての飛行は決して簡単なものではなく、なかなか自信が持てませんでしたが、あるとき嶋教官から「これぐらい飛ばせればいいでしょう。いつまでやっていてもきりがないものですから、そろそろ切り上げて次のステップに進みましょう。」のお言葉をいただきました。
その後、青木教官を中心に仕上げを済ませて迎えた7月8日。我々の間で有名な試験官は7:30きっかりに登場。ラジコン飛行機同士で機体に取り付けた紙テープの吹き流しを切り合うのは難しいだろうねえ。などという雑談から試験は始まりました。
口頭試問の部分ではいろいろな質問を受け、中にはまったく間違って覚えているものもありましたが、そんなときは丁寧に間違いを訂正してくれました。
実技試験の部分で少々の問題が起きました。今までずっと訓練し、試験にも出るはずだった進入方式が地上無線局の不具合で使えないことになったのです。所定の計器進入をやらねば試験になりません。そこで試験官は、私が今までやったことがない飛行場の東側からの進入方式を指定しました。「GPSを使ったアプローチなら、西でも東でも大差なかろう」と思い、そのまま試験を継続。短い準備時間中に青木教官がポイントを丁寧にアドバイスしてくれました。
試験官にはあらかじめ、「飛行中に日本語で何か呟くかも知れませんが、不愉快に思わないでくださいね。」とお願いし、試験官からも「やろうとすることをいちいち説明する必要もありません。」とアドバイスを受けて実技試験を開始しました。
日ごろの行いがよっぽど悪いのでしょうか。当日は風が強く、乱気流も相当なものでした。飛行機がガタガタ煽られるのを幸いに、ずれた針路をえいやと乱暴に修正しながら飛ばしました。最終進入経路に載せるときには相変わらずSの字を描いてしまいます。でも、訓練のときよりも小さめのsで済んだかと思います。計器進入中に計器の一部が壊れて使用不能になることを想定した試験もうまくいきました。青木教官からはもっと厳しい訓練をたっぷり受けていましたから。
飛行中にもいくつかの質問が出されました。飛行機を飛ばすのにすでに当方のCPUの大部分を使っていますから、危うくオーバーヒートしそうになりましたが、何とか切り抜けて地上に帰ってくることができました。
総括するとうまく飛ぶことができたと思います。試験官もほめてくれました。
今回の一連の訓練は、想定した期間よりも相当早く完了することができました。しかし期待したとおり、多くの知識、技量を蓄積することができました。グアムに通った甲斐がありました。
今回私が、連邦航空局計器飛行証明の取得という大きなハードルを飛び越すことができたのは、嶋教官や青木教官のみならず、初歩の部分からずっとお世話になり、多くのポイントを教えてくださったラッセル教官、その他の方々のお陰です。たいへんありがとうございました。
技量を維持するために、次のステップに進もうと考えます。今後ともご指導のほどをよろしくお願い致します。
渡辺了敏
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